カーサ・ロマ




トロント郊外を散歩していて(実は、道に迷っていて)、
「なんだぁ〜ありゃ?」
丘の上に佇む奇妙な建物を見つけた。



新興国家の分際で、中世ヨーロッパの古城らしきたたずまいの
・・・やっぱり、お城である。


なんで、あんなもんが・・・?


さもあらばあれ、城攻めは武門の誉れである。
どうせ仕事など遊び半分なんだから、と、用事のほうはぶん投げて、
サムライは敵城へ赴く。


ガイドブックを持ってりゃ、こういう間抜けな体験にはならなかったであろう。
ここは20世紀初頭、ヘンリー・ミル・ぺラット卿なるナイアガラの電力成金が、
あくまでも道楽で建てたカーサ・ロマという屋敷だった。





だが、俺は「いったい、どんな変態が住んでいるのか」と期待に胸を膨らませて
丘を上がっていった。

観光地であることは、カナダの一般大衆がうろうろしているので、一目瞭然だった。
そして、券売係のオバちゃんから、事情を知らされる。

近くには、19世紀の終わりにジェームス・オーチンという人が建てた
豪邸・スパダイナというのもあるが、ともあれ、故ヘンリー卿の好事家精神に感動した。



こんなものを建てたお陰でヘンリー卿は破産なさったようだが、
カーサ・ロマは、市民の粋な遊び場になっている。



趣旨は大きく異なるが、こういうばかばかはくも壮麗なオブジェをこさえる根性は、
北東タイのワットケークを造営したルアンプーに通じるところがある。
洋夷ではあるが、我が頭蓋の偉人列伝にヘンリー卿の名前が加わった。



天守閣からの眺め・・・



でも、けっこうカナダ人って、こういう意匠が好きみたいね。


モントリオールのホテルから撮った写真




放浪記



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