身近な様変わり



表社会と裏社会。
複数の「顔」を使い分け、バンコクのトワイライトゾーンで蠢いていた私は、

スクムビット101/1ソーイの下宿屋をはじめ、常に数箇所のタウンハウス、アパートなどを
セーフハウスとして確保していた。

それでも基本的にはSGCのオフィスへ五百メートル、
ミッドタウンの渋滞を思えば、時間的に空港ともべらぼうに近いラチャダピセク通り界隈を
根城と定めていた。

「嗚呼人栄え国滅ぶ、行く川の流れは絶えずして、諸行無常の響きあり」
と古人は言うけれど(?)、このあたりも僅か十年で、ずいぶん変貌してきている。

どれも記録を残そうと思って撮ったものではないが、
たまたま、そのあいだの街の変化を伝える写真が手元にある。
ラチャダピセク通り(ホワイクワン)界隈を中心に、
そんな過去の風景を幾葉か、ならべておこう

まずは表通り。

日頃利用しているバス停の上に架かった歩道橋からオフィスの方角(北)を撮った写真が出てきた。


クリックしてみてください↑

写真の趣味はなくても、現場仕事や特ダネに備えて、カメラを持ち歩くのが習慣になっていた私は、
まま、現像を急がなければならない時、物価水準を考えれば決して安くないフィルムを、こうした
意味の無いモノを写しまくって、無駄使いするケースが多かったのだ。





・・・まあ、そんなことはどうでもいい。
ラチャダピセクとスティサン通りとの交差点には、緑色のコの字型歩道橋があった。
現在は地下鉄の工事に併行して作られた、アンダーパスの交差点になっている。



入居したばかりの頃、ワタナーマンションは、ラチャダピセク通りから良く見えた。



バンコクなので、ご多分に漏れず、このマンションもデイリーユース(つまりゲストハウス)
の部屋があるので、いまでもバンコクに逗留する時、たまに利用する。
特にNW便で深夜に到着した時に駆け込むのが便利だ
ちなみに一泊500バーツ。月額家賃は4600〜5600バーツ。
眺めの良い上階は、狭い代わりに安い。

ただ、最近は麻薬の売人や売れない芸能人がたくさん住むようになっており、
風俗嬢や妾、それに我々のような運び、担ぎの不良外人が主流を占めていた以前と比べ、
当マンションの柄の悪さの質も、次第に変わってきているようである・・・


ベランダの真下には、ソーイのニックネームにもなっている「水上レストラン」のバーンブンがあった。


クリックしてみてください↑

しかし、あまりにも料理が不味く、最も近い飯屋であるにもかかわらず、
ワタナーに住むようになってから、ついに一度も足を踏み入れなかったのは皮肉である。
アホな客に午前三時までフルボリュームのカラオケをやらせているのも腹立たしかった。
この地所には、現在コパカバーナという名称のトルコ風呂が建っている。
ソムナムナー(ざあみろ) !
↑原よう子たん調


バンコクの風俗産業は、おそろしい勢いで郊外に向かって拡散しつつある。
コパカバーナが出来たのは、私が日本へ帰国したあとの話だが、
それ以前から、もともと何も無かったラチャダピセクには
雨後の筍のように新しい
高級店が乱立しはじめていたのだ。

そうするうちに我がパクソーイにも、ポセイドンなる、でかいトルコ風呂が進出して来た。
好き者諸氏には、「なんだ、便利じゃないか」と羨む向きもあるかも知れないが、
実際のところ、タイに何年も住んでいて、この国の風俗産業に目の色を変えるやつは多くない。
いい加減に辟易してくるのが普通だろう。
よしんば内地から来たやつに付き合わなければならないとしても、
いくらなんでもこんなに近い店で遊ぼう、という気にはならないよ。

むしろ、ベランダからラチャダピセクの道路状況がまるで読めなくなってしまった。

 その数年前

はっきり言って、邪魔である。

・・・話は変わるが、この写真を見ると、ポセイドンができた当初、まだ向かいのホテルは
日航マハナコーンだったようだ。

この通りは風水の影響だろうか、
西側(手前)にできる店はジャスコもロビンソンも繁盛するけれど
(但し、23ヶ月分の家賃を滞納して撤退したヤオハン *は例外)、

反対側では東急をはじめ、オープンした業者の悉くが事業に失敗しているのである。

このホテルの不運も例外ではなかった。
この後、日航が経営から手を引き、ただのマハナコーンホテルとなり、
現在はまるで別の経営母体がグランドホテルという屋号でしのいでいる。
閑古鳥は、相変わらずのようだ。


* かつてのNHK連続テレビ小説「おしん」はタイでもヒットし、今でも感動している人々が大勢いる。
日本民族の名誉のため、ヤオハンと「おしん」の関係は話さないほうが無難だろう。



ホワイクワンばかり紹介していても、つまらないので、最後にアヌサワリー・チャイ。
スカイトレインの橋脚工事が始まったばかりの時期に、フィルムの現像をいそぐため、
戦勝記念塔南の歩道橋で適当に撮った写真があった。



バンコク屈指のロータリーだが、どちらかと言えば殺風景。
日本人には、あまり面白味がある界隈ではないかも知れない。

ディンデン通りの角には、馴染みのミリタリーショップのテナントが入る
ロビンソンデパートがあった(前方の青い建物)。


この風景も、いまはない。






タイランド



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